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夜のお散歩が、スキ


暗い夜道をてくてく歩くのには
そう、ちょうど今くらい寒い方がいいと思うのです。

キミが隣にいて
願わくばその小さなポケットに
繋いだ二つの手をぎゅうぎゅう押し込んで
少し息をあげて
唐突に笑ったり
てくてくと
コンビ二で肉まんでも買って
あたしの好きなアイスでも
キミの好きなチョコレートでも
とにかくなんか遠足気分で買ったりして
たまにはでたらめな歌でも歌ったり
いつまでだって

そんなふうに歩きたいと思うのです。


馬鹿みたいにわくわくしながら
横目で車たちが流星のように飛ばすのを見送り
世界中でたった二人
ドラクエでもなんでも
とにかくなんか倒しに行く途中の勇敢なマーチのように
てくてくてくと
昼とは違う街の様相に
たまにはわざと
道を間違えて
迷子のふりしてはしゃいだり
この夜の気まぐれなお散歩が
いつまでだって
いつまでだって

こんなふうに終わらなければいいと思うのです。

多分キミは気づかないけど
キミのその唇に不意打ちのキスをしてやろうと
あたしは小さなコドモのように企みます。
キミのステキなステップを邪魔せずにキスする方法を
てくてくてくてく
歩きながら、考えます。

だけど
夜のお散歩のホントにステキなところは


たとえ左側にキミがいない夜に
こんなことを考えていても

そうヒクツになったりしなくてすむところです。


それは多分
夜が冷たく
ひどく冷たく
だけどそのぶん
ほんとはひどく優しいからです。


そんな夜に包まれてただ歩けば
今はもう遠い他人のキミに
少しだけ
自然と近づける気がするのです。
気負いもなく
哀しみもなく


てくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてく。

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November 19, 2003 5:02 PMに投稿されたエントリーのページです。

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