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たまのココアが、スキ

喫茶店に入ると、
あたしは9割の確率でコーヒーを頼みます。
残りの1割は体調がどうも優れない日で、
そういう時には胃に優しく、紅茶やジュースを頼みます。

そう、要するに根っからのコーヒー党なのです。
一日に必ず5杯以上は飲んでいると思われます。
三度の食事、と二度の休憩。
全部最後はコーヒーで締めます。

それでも。
好きな飲み物を聞かれると、あたしは少し悩みます。


それは、

現実を日々一緒に生きていけるヒトと
夢のような偶然の中でしか会えない大好きなヒトと

その間で揺れ動く気持ちにちょっと似ています。

ココアを飲むことは多分年に数えるほどしかない。
それでもそのあたたかく甘ったるい夢の飲み物は
ちいさいあたしを撫でるように
ぐっと落ち着かせてくれるのです。


たまにしか飲まない筈なのに
ココアを飲んでいる風景はいくつもあたしの中に残っていて。

それはやっぱりココアのように
ひどく幼稚に甘ったるかったり
夢の中の沈まない太陽のようにあったかかったり
それとも逆に
その味でゴマカソウとした外の容赦ない北風の冷たさだったり


でもとにかく。
いずれにしろとてもイトオシイ風景たちなのです。

でもココアは日に5杯は飲めません。
そんなことしたらもう夢遊病者にでもなっちゃって、
夢のクニでも目指して遠く逃避行に出ちゃったりしちゃうからです。
だからこれからも、そう少なくともしばらくは、
あたしはコーヒー党を名乗り続けるでしょう。

だけど。

たまに飲むココアが、やっぱりスキです。


たまには、素直になってもいいですよね。


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November 9, 2003 5:00 PMに投稿されたエントリーのページです。

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