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恋をするときのこと

一瞬で恋におちる。いつも。それは必ずしも一目惚れとは同義ではない。勿論一目惚れのことだってあるけれど、そうじゃなくて、たとえばずっと一緒にいたけど全くなんとも思ってなかったひと、ずっと憎いと思ってたひと、そんなひとたちにだって、一瞬が、その一瞬さえあれば、私は易々と、恋におちてしまう。すごくみっともない。制御できないこと、予想外のこと、すごくみっともない。私は絵に描いたバカ女みたいに、ぽかんと口を開いたまま、あらゆる理性を失う。震えたり、声が上ずったり、わけもなく駆け出したくなったり、意味がわからない。ただただあなたのことを触りたくて触られたくて他のことはなに一つ考えられなくなってしまう。そのうえ大変面倒なことに、どんなに大きな犠牲を払っても、そうたとえば予め注意深く構築されてきたキミとの関係性や、他の誰かとの関係性をすべてがらがらがっしゃんと崩し葬り去ることになったとしても、そのことをキミに告げたくなってしまう。嗚呼、真正の阿呆のよう。全部台無しになるし、私には私の人生があってそれはなによりも優先されるべきで、こんな不確定要素に乱されるほど落ちぶれたものではないのだ、と私は頭の奥の奥から憤慨する。


でもね、私はその一瞬が、このくだらなく中途半端な人生において、なによりも尊いものだと知っている。私が他のひとより秀でていることが一つでもあるとしたら、きっと、コレだ。そのことをちゃんと知っているということ。誇れるものなんて何一つ無いけれど、あの一瞬がどれだけ尊くてそして絶対であるかを知っていることに関してだけは、心のなかでいつも、ひとり密やかに誇っている。

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September 25, 2010 1:50 AMに投稿されたエントリーのページです。

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