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手首が、スキ

手首はわがままだと思うんです。
少なくともあたしの手首は。
うん。多分そういうことだと思うんです。

外気に手首が晒される夏。
手首に何もつけないで出掛けることは少ない。
銀の時計やビーズのブレスレットでもたまには持て余したヘアゴムも。
何かは、そこを飾り。
言い訳を携えて囲みます。


グラングラン不安定で落ち着かない無防備なその関節を守るように。
ぐるんぐるん小物たちは、囲む。

だけど縛られているのは煩わしくて、煩わしいのは憎むべきことで。
室内に入った途端あたしはすぐに何から何まで剥ぎ取ってしまいます。
窮屈さと不快感。
タートルネックのニットがやたら気になる冬の首を思い出しながら。


弛んで弛んで。
脱力。その象徴のただいまの儀式。

とはいえ
この手首を誰かにぎゅっと掴まれたとき
ひどく安心してしまうのは何故なのだろう。
手を繋ぐことよりもずっと受身で、それは甘い強制連行のようで。
誰もやってくれないときはしょうがないので
少しだけより逞しい右手が、少しだけより不安定な左手首を握ります。
きつく縛り上げるように固く。
それは多分、何かの確認です。


ほらほらほら。
そうして今日も境目が曖昧に溶解することを阻止。

緊張―弛緩。緊張―弛緩。緊張―弛緩。
気まぐれに欲望し、何のバランスを取るのだろう。

わがままだ。
要するに、そういうことなんです。

うん。
それはそう。

多分、全部このでっぱりのせいなんです。
そのワガママさもイトオシサも。

全部このでっぱりのせいだと思うんです。

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July 8, 2004 5:41 PMに投稿されたエントリーのページです。

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