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偶然と、仕組まれた偶然が、スキ

それはもしかしたら。
幼いころのあたしの夢が、
姫だったり、占い師だったりしたことに関係するのかもしれません。


例えば人ごみのなかでウソのように出会ったり。
号泣するために息を吸った瞬間に優しいメールが来たり。
どうしても聞きたい唄を急にあなたがヘタクソに鼻歌ったり。


とにかくあたしは偶然にめっぽう弱いのです。
偶然はキセキに、キセキは運命に。
意を介さずにいつもそれは自動的に変換され。
すべての偶然を「運命だ!」と信じこみます。
魔法にかかったように
あたしはただドキドキする心臓を恋と錯覚します。


幼稚なろまんちしずむは、
この十何年いくつもの弊害を生み続けてきました。
幼稚園では親が先生に呼び出され。
大学では危うく単位を取り損ね。


それでもやめられないのは
やっぱり魔法にかかりたいからなのでしょうか。


けれど偶然なんてものはそんなしょっちゅう訪れてはくれなくて。
欲しがってばかりのあたしたちはしびれをきらし
偶然を装い、時計とにらめっこしながら誰かを待ち伏せしたりするのです。


何年か前からか。
あたしは偶然と同じくらい、仕組まれた偶然を愛すようになりました。


わざと忘れたMDや
わざと鉢合わせたかふぇや
わざと失くしたライターや


みんなみんな
なんてみっともなくて、なんてしょうもなくて、
なんて愛すべきことなんだろう、と。


仕組んだ偶然がうまく偶然になれば
それは多分本当の偶然よりステキだし。
仕組んだ偶然がいつか偶然になるようにと祈り続けることも
苦しいだけ、多分
同じくらいステキなことだと思うのです。


アナタが初恋のヒトの家の前をわざと通り続けたり
あたしが東横線に乗るたびに全車両に神経を行き渡らせたり
キミがたまらずに新宿駅構内をくまなく全力で疾走したり


ほんとバカみたいとしか言いようがないです。
偶然また会おう
なんて、もう、ねえ、
3年早く会ってたら良かったのに
と、同じくらい意味を成さないコトバたちです。


けど、あたしはそういうバカなヒトが好きです
途方に暮れて、徒労を引き摺って、
捨てられない一握の希望が手の中で汗まみれになって
その形状さえ跡形を亡くしてしまっているのに
それでも煩悩に負けてしまう
そう、ちっぽけに苦しんでるヒトが割りと好きです


だから今日も。
あたしはトーキョーの真ん中で偶然を待ちます。
偶然と仕組まれた偶然を待ちながら
自分の仕掛けた偶然が偶然になるのを待ちます。


それと、あと。
そんなあたしを馬鹿にして
顔をくしゃくしゃにして大笑いしてくれる全く想定外の王子様の偶然の登場を待ちます。




あー。
やっぱり成長してないなぁー。


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February 16, 2004 5:32 PMに投稿されたエントリーのページです。

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