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居心地の悪そうなひとが、スキ

なんというか
自分はことごとくいつもマージナルな場所にいるなあと、思うことがよくある。


ジャンルや業界を好き勝手に行き来しつつ創作活動をしてみたり、
周りに似た例の無い職業ばかりに就いてみたり、
幼少期の記憶が日本語と英語ぐっちゃまぜだったり、
東京都の果てに住んでみたり、
ふるさとが無かったり、


グループにも業界にも土地にも国にも世界にも。どこにも。
属している感覚がとても薄い。
(だから特に「どこにも属したくないんだ!」とも思わない。属してないからね、元々。)
よそもの。ブガイシャ。異邦人。


そのため、
どこのコミュニティの集まりに呼ばれても、なんとなく中心の話題に馴染めない。
話題に馴染めないどころか、空気にも馴染めなくて、
そうなるともう何もかもわからなくなって、

どうやって立っていればいいのか、どんな酒を選べばいいのか、名刺交換とかむしろダサいのか、肩は見せるべきか隠すべきか、グロスは塗り直した方がいいのか、ハイタッチが今イケてるのか、


途方に暮れて、居心地の悪さを必死にごまかそうと
「あー。はいー。えへへー。なるほどー。」を適当に繰り返しながら、
ぼんやり他のことを考えながら時間をやり過ごすことしかできない。
いっそのことごまかさなければいいんだけど、
あたしはまだ未熟者だからなかなかそこまで思い切れず反射的に足掻いてしまう。
属セル?属セマスカネアタシ?
足掻いてしまうから情けなくて、
情けないからもっと途方に暮れて、
暮れているうちに置き去りになったあたしに気づかずに、
夜は噂話や裏話や批評やギャグや打算や恋を周到に加速させ盛り上げて更けていく。




だから、あたしは自分よりも数段居心地の悪そうなひとがスキだ。




あたしと同じぐらい居心地の悪そうなひとでは駄目。それじゃおんなじだ。
もっと正しく居心地が悪そうで、この世界にすらもっと正しく属せていないひと。
そういうひとがやたらと気になってしまう。


そういうひとは見ればすぐわかる。
そういうひとはソワソワもモジモジもイライラもしない。
そういうひとといってもいろいろいて、
会話も少なくて、ひとりぼっちでいることが画として美しいひともいるし、
精巧なマシーンみたく軽妙な受け答えが得意で人気者のひともいるけれど、
いずれにしろ、
そのひとの周りだけ空気は違う色をしていて、それはとてもわかりやすい。
その色を見逃さないことは、あたしのちょっとした特技だ。


思えばあたしの人生に大きな影響を及ぼしてきたひとたちは、
みんなそういう風に居心地が悪そうなひとたちだった。
粋がってこの世界に属さないのではなく、属せないことを受け入れているひとたちだった。
彼らはこの世界に正しく属せていない代わりに、
それでも生きつづけていくための魔法を持っていた。


その魔法が欲しくて欲しくて、見たくて見たくて、
あたしはいつもいつも抗えない引力で彼らに吸い寄せられていってしまう。
結局、あたしにだって、彼らは属せないのだけれど。


そうしてあたしの人生は、今でもそんなひとたちの魔法に支えられ続けている。




さて。
どうやったらもう数段、居心地の悪そうなひとにあたしもなれるんだろうか。
そしたら魔法も手に入る?


もっと居心地の良さそうなひと、もっと居心地の悪そうなひと。
サカイメにばかりいるあたしは、またその狭間で、結局途方に暮れている。

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May 18, 2008 12:31 AMに投稿されたエントリーのページです。

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