« 正しい休日が、スキ | メイン | ちゃちなニセモノの宝石が、スキ »

ラブレターが、スキ

喋ることはあまり得意じゃなくて。
ヒトと目を合わせることも。

だからかもしれませんが、
あたしはラブレターを
一般的な人間より遙かに多く書きながら生きてきた気がします。
とはいえ、このご時世。
何も全て手書きではありません。
キーボードで叩きだされたり、右親指1つで紡ぎだされたり。
でも、とにかく、文字で。
誤解の多い、しょうもないコトバで。


おかしなもので
実際に誰かに届いたものの内容はあまりうまく思い出せません。
澱のように記憶の裏側に溜まっていくのは
届かない前提で曖昧に放りなげて
届いたのかさえ
未だうまくわからないものばかりです。


ときに目障りで
ときにうっとうしくて
でもやっぱりイトオシクテ。
あたしは、そうやって取り残されたラブレターが、スキです。


だって。
そうやって考えると。


文字になってここそこに落ちているコトバは
もしかするとだけど
もしかすると

みんな曖昧なラブレターかもしれないと思えるから


元々は
誰かを想って投げられたはずの
しょうもないラブレターだったかもしれないと


そんなくだらないモノオモイに耽ることができるからです。

そうやってラブレターを拾うと
あたしは少しだけ嬉しくなります。
少しだけ嬉しくなって
ほんのちょっとだけセツナクなって
でも
アタマに浮かんだキミに
久しぶりにラブレターを書きたくなるんです。


そう思ったきっかけは多分
目黒通りの交通表示用の電光掲示板で。
オレンジに光る文字は
「夕暮れ時 事故多発」
となんとなく書いてあったのです。

昼下がりになんとなくやられたあたしは
もっとあとになって

あれもラブレターだったのかな、と。


夕暮れに目が眩んで
踏み外して堕ちて知った柔らかなダレカの肌への讃歌なのかな、と。


そしたら急に
オレンジの文字も
文字を考えた知らない誰かも
それに気づいた全てのヒトも
気づかずにどこかで暮らすきっと静謐な美しさを今日も匂わせる受け取らない受取人も

みんなただもうイトオシクなってしまって。


そしてラブレターを。
脳裏に浮かんだキミに
どうしても書きたくなってしまったんです。

だからそう思ってこの文章も読んでくれたら。
これも、これまでのも全部、
ただのできそこないのラブレターだったと。
そしたら、少しだけ。


ラブレターを。
久しぶりに書いてみる気にはなりませんか?

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.midoris.org/mt/mt-tb.cgi/24

About

April 4, 2004 5:37 PMに投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「正しい休日が、スキ」です。

次の投稿は「ちゃちなニセモノの宝石が、スキ」です。