« September 2009 | メイン | February 2010 »

January 2010 アーカイブ

January 23, 2010

is this it

今日の夜はTHIS IS ITを見ようかなー、と思っていたそれはそれは穏やかな11月の昼下がりに、知り合いの女の子から電話があって、私はとても大切なひとがその日の早朝に突然しんでいたことを聞かされた。それはあまりにも唐突であっけなく、笑えるほどだった。どんな優れた冗談もあれにはなかなか敵わないんじゃなかろうか。ショックも悲しみもなく、とても冷静だったので、そのまま予定どおりTHIS IS ITを見に行ってもよかったのだけれど、喪服はキレイなのあるよな、でも袱紗とか数珠とか誰かに貸してたっけ、あ、あと日曜と土曜の予定を逆にしないと通夜間に合わないな、アポ取り直せるかな、とかいろいろ考えなきゃいけないこともあったので、結局やめて直帰した。

そうして通夜に出て、大人の風情で儀式をつつがなく行い、実感が湧かないまま数日を過ごし、突然カナシミの津波に襲われて、ああ時間差でやってくるのねまた、もうしってるよそんなこと、と思ってもう一人の自分がそれをガチで受け止めたり、そこから回復したり、ふとしたきっかけでまた引き摺られたり、ということを繰り返しながら年を越して、見逃したと思っていたTHIS IS ITがもう一度上映されていたから、今度こそ観に行かなくては!と思い、1月も半ば過ぎてようや意気揚々とマイケルを見に行くこととなった。

私はかなりノリノリで、きっと一緒に歌っちゃったり、周りに迷惑をかけるほど踊っちゃったりしちゃうんだろうなーとライブ感覚ではじまりを待っていた。体力を使いそうだったから、腹ごしらえまでしてから行った。だけれど、いざはじまってマイケルの姿を見たとたん、私は自分でも引くぐらい嗚咽を上げて号泣していたのだった。

この人がもういないということ。ある日前触れもなく突然いなくなって、もうずっといないということ。それはマイケルと同じ50代とは到底思えない、いわゆるおじさん体型で、ぽってりしたおなかをゆさゆささせていた、親父ギャグばっかり言っていた、ちっちゃい子供を扱うように私にやたらとお菓子をくれた、とてもとても大切なひとのことを想起させるのには十分で、どんどんどんどん二人はダブっていった。正確には二人の不在が。「どの曲も知ってる曲だし、細かい指示出しとかプロっぽいし、やっぱこのひと最高のエンターテイナーだな、世紀の天才だな、ほんと同じ時代に生まれてよかったよねー」、っていう感想を持って、家でジャクソン5のCDとかを探し出すつもりでいたのに、私が感じたのはただただ、この人がいない、この人もいない、ということだった。音楽の映画、であるはずだったのに、それは不在と死の映画だった。私にとっては。

それはおそらくTHIS IS IT製作委員会の思惑とも「みたみた~?どうだった?よかったよねー!」と感想を共有したいであろう友人たちの思惑とも完全にずれていて、とても幼稚で洗練の欠片もない酷い感想だった。自分でもびっくりするほどに。でもこの激しい感情は無かったことにはしないことにした。もうだれも私より先にしななければいいのに、と思う。そう思っている割には、他の同年代に比べて明らかに葬式に出席しすぎていて、皮肉なものだな、とも思う。これからもどんどん私よりみんな先にしぬのだろう。大人になったらいちいちこんなに動揺しなくなるのかな、と思っていたけれど、とりあえず30歳現在、そんな実感は全くないのでこれからもいちいち動揺するのだろう。でもしかたがないので、諦める。そうやって動揺しながらたくさんのひとを看取ろうと思う。

January 3, 2010

i know you know it but i know i know better

都合のいい女とか都合のいい男、っていうのはいったいだれが決めるのだろう。


待ち合わせ場所にあらわれたのなら、

私もキミも等しくただの都合のいい男女なのだ。

About January 2010

January 2010にブログ「memorandum」に投稿されたすべてのエントリーです。

前のアーカイブはSeptember 2009です。

次のアーカイブはFebruary 2010です。